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2025/12/24

#Event #Media

HACHI Live Tour 2025 “Unlockture” オフィシャルレポート公開!


RK Musicが運営するプロダクション・ライブユニオンに所属し、2024年11月にはメジャーデビューも果たしたバーチャルシンガー・HACHI。
彼女の最新ライブ「HACHI Live Tour 2025 “Unlockture”」が、12月12日、神奈川・カルッツかわさきで開催された。


“ボイジャーのゴールデンレコード”をテーマにしたメジャーデビューアルバム『for ASTRA.』を発表して以降も活躍の場を広げる彼女だが、今回は最新アルバム『Revealia』のリリースを2026年2月11日に控えたタイミングでのライブ。
海外にもファンベースを持つ彼女らしく、この神奈川公演に加えて台北公演の開催もアナウンスされている。


公演タイトルの「Unlockture」は「unlock」(カギを開ける)と「overture」(序曲)をかけあわせてつくられた造語。
これまで「人に寄り添う歌」を歌ってきた彼女だが、活動を続ける中で「自分がどういう人間なのか明かしていないのに、本当の意味で人に寄り添うことができるのだろうか?」という想いが生まれ、これまで見せてこなかった一面や弱さなども含めて自分の内面や心の深層に向き合う「自己開示」がライブのテーマになった。



また、これはそのままアルバム『Revealia』のテーマにもなっている。
つまり、今回の公演は来たる新作に向けて自分のココロのカギを開けるような、最新アルバムへの序章的な公演と言えるのだろう。
ライブハウスでのスタンディング形式ではなく、自身初の着席シート形式のホール公演で、彼女の心の内にぐっと焦点を当てるようなステージとなった。

ライブは冒頭、カギで心の扉をアンロックするオープニング映像を経て、いきなり新アルバムの先行曲「To Be Alive」でスタート。
いつになくモノクロのステージに徐々に色がついていく演出はこの日ならではだ。その後もサビで広がるバンドサウンドと伸びやかな歌が印象的な「fragment」を経て、お馴染みの海野水玉が手掛けた初披露の新曲「∞」へ。
この曲も『Revealia』に収録予定の楽曲で、序盤から新しいドアが開けられていく。



以降は「またみなさんとこうしてお会いできたのが本当に嬉しいです」「BEES(ファンの総称)のみんな!盛り上がっていきましょう!」と伝えてエディットされた電子音がキラキラちりばめられたエレクトロチューン「Brand New Episode」を熱唱。
ドラムンベース由来の軽やかなビートと清涼感のある歌が同居したエレクトロポップで会場を盛り上げる。続く「まなざし」や「いつまでも」では感情の機微が伝わってくるような歌声を披露。
アコースティックギターの音色とモダンR&B風のプロダクションがひとつになったメロウなポップソング「√64」も、今回のホールライブの雰囲気にとても似合う。


ここまでのパフォーマンスで顕著に感じるのは、照明や演出などのトーンを抑えることで生まれている、いつになく歌そのものや内面にフォーカスするような雰囲気。
過去にライブで披露されてきた楽曲も照明や演出があえてシックに抑えられている印象で、けれども彼女自身の歌の表現力や楽曲に込められたメッセージによってライブが進むたびに様々な感情が顔を出す。
ステージ中央でじっくり歌っているHACHIの姿とは裏腹に、リスナーには彼女の内面の世界を飛び回って旅をしていくような先の見えないワクワク感がある。



中盤は1番と2番で歌詞にあわせ照明の色が変化した「空が待ってる」、コーラスの音響的な響きが心地いい「ビー玉」、空を舞う灯篭と観客のペンライトの温かな光によって灯篭流しの夜にタイムスリップしたかのようだった「夏灯篭」、ステージで無数の万華鏡がキラキラと輝く「万華鏡」など、歌とコーラスの重なりが印象的な楽曲を披露。
初期からの楽曲のひとつ「Rainy proof」では心の奥にさらに潜るような歌をしっとりと歌った。



ここからはライブも終盤。「チルなセトリをお届けします。ぜひ浸っていってください」と伝えてはじまったのは最新アルバムに収録されるメロウなバラード「Empty Town」。
都会の夜を連想する洒脱なメロディと余韻が印象的だった。以降は「Deep Sleep Sheep」や「異星から」を経て、ふたたび最新アルバムの「Chère amie」を披露。こちらの「Chère amie」はポエトリーリーディング的な語りパートと歌とがひとつになった楽曲で、ぽつぽつと言葉を紡ぐような語りと終盤のドラマティックな盛り上がりとの対比が心地いい。



本編最後に披露したのは2曲。「この曲をリリースしてから私の新たな人生がはじまりました。
あの日から5年、本当に長い時間が経っています。ずっと私のそばで活動を見守ってくれているBEESのみんな。みんなのことを心から愛しています」と伝えてアーティストデビュー曲「光の向こうへ」を歌うと、今のHACHIならではの力強いパフォーマンスに鳥肌が止まらない。
最後は「一緒に大きい声出してください!」と盛り上げて「Pale Blue Dot」を披露。
アンコールでは「-ERROR」などでお馴染みのボカロP・nikiが手掛けた最新アルバムに収録予定の新曲「Before anyone else」を熱唱し、「本日は本当にありがとうございました! 次は台北公演でお会いしましょう。バイバーイ!」と伝えてライブを終えた。



初公開の新曲を随所に交えつつ、シンプルなステージ演出と彼女自身の歌の魅力でバーチャルシンガー・HACHIの世界にぐっと引き込んでいく全編の雰囲気は、「自身の内面を表現する」という一見内省的なテーマのライブでありながら、同時に相手を信頼して自分をさらけ出せるようになった今ならではの力強さや温かさを感じるものになっていた。
これはおそらく、今までの活動の中で生まれたBEESとの絆があるからこそなのだろう。
2026年2月11日にリリース予定の最新アルバム『Revealia』の入り口になるような、これからまた新しい場所に向かう出発点になるような、そんな雰囲気が印象的なライブだった。

文 :杉山 仁
写真:中村ユタカ

本公演のアーカイブ視聴チケットは現在販売中です。
ぜひこの機会にHACHIの世界をご堪能ください。

配信視聴ページはこちら:https://www.zan-live.com/ja/live/detail/10699#ticket-info
販売期間:2025年12月31日(水)21:00 まで
視聴期間:2025年12月31日(水)23:59 まで